2026年7月19日の杉江松恋

7月18日・浪曲陰陽師 芝右衛門狸にご来場いただいたみなさまに御礼申し上げます。
杉江松恋 2026.07.19
誰でも

2026年7月19日。

 杉江松恋が今月書かなければならない原稿、やらなければならない仕事は以下の通り。

レギュラー原稿:週刊6・隔週刊2・旬刊2・月刊2

イレギュラー原稿:週刊2・インタビュー1(新規)・推薦文2・文庫解説1・新人賞下読み1・企画書1

その他:選考会出席1・打ち合わせ1・取材3・動画撮影配信5・講師1

(前月からの積み残し)

その他:浪曲台本1

 緊張していたわけでもないと思うのだが、あまりよく眠れずに午前3時に目が覚めてしまった。遅くとも8時半には家を出たい。準備はほぼすべて済んでいる。もう少し眠っておいたほうがいいかと思い横になったが、結局4時半にそれ以上眠るのは諦めて起床した。

 準備が済んでいないことはないか、と考えたが、名簿の印刷を含めてやらなければいけないことは終わっている。時間があるので、机に向かってレギュラー原稿を一つ書いた。これによって7月中に稼がなければいけない金額への進捗率は130.04%になった。まずまずだ。

 午前8時半に家を出る。170席分のチラシを持っている。宅急便で言うと60サイズくらいの段ボール箱二つ分だ。一つは背中のリュックサックに入れ、もう一つはエコバックに入れて右手で持った。雨が降らなくてよかった。

7月18日、「京極夏彦・原作 浪曲陰陽師 芝右衛門狸」の公演日である。会場は北区にある北とぴあペガサスホールだ。すでに予約で満員になっており、当日券は出さない。

 地下鉄を霞が関で乗り換えた。千代田線で一本、と思っていたら自分が間違えたことに気づいた。今日向かっているのは町屋ムーブホールではなくて、北とぴあだから王子駅である。同じ緑色の地下鉄でも、千代田線ではなくて南北線に乗らなければならなかった。慌てて西日暮里駅で降りて京浜東北線に乗り換えた。2駅で王子である。なんとかなった。

 しかし間違えて中央口で降りてしまった。なんで王子駅は、中心地に出られる北口ではなくて、飛鳥山公園に行くときぐらいしか縁がないこっちを中央口と呼ぶのか。しかも北口から中央口へは、信号を2つ待ってロータリーを周るか、歩道橋を渡らないと行けないのである。諦めて歩き出したら、背後で音がした。見ればリュックサックに入れてあったはずの養生テープが転がっている。リュックサックのファスナーが下りて飛び出したのだ。間違いなく締めてあったはずなのになぜ空くのか。中に入っているチラシの重みで、ファスナーが耐え切れずに空いたのだろう。そんな重さの荷物を背負っていて、大丈夫なのか私は。

 ようやく北とぴあに着いた時には10時半近くになっていた。受付を済ませる。13時からしかペガサスホール楽屋には入れないので、作業用に会議室を一つ、正午頃に到着する京極夏彦さんにサイン本を作っていただく部屋として和室を一つ、準備してある。その会議室に入り、チラシをテーブルの上に並べた。これを順番に組んでいくのである。

 小一時間ほど経ったところでKADOKAWA編集者のNさんが到着。チラシを組むのを手伝っていただく。30分後、京極さんのマネジメントをしているラクーンエージェンシーのOさんがいらっしゃる。恐縮なことにチラシ組みを手伝ってくださった。申し訳ない。

 そうこうしている間にHさん、Tさんが到着。チラシ組みと並行して、Hさんに配布用の整理券を作ってもらう。100円ショップで買ったメッセージカードに数字を書いていく作業だ。KADOKAWAのOさん、Kさん、Iさん、Wさんも相次いでやってきたので、この日の分担を決めさせてもらった。昨年大阪にも来てくれて慣れているOさんとKさんに物販を、NさんとWさんに受付を、Iさんに列整理をお願いする。非常に助かる。

 それにしても宅急便が来ない。北とぴあは受付で荷物を預かってくれないので、電話で直接スマートフォンに連絡をくれるようにお願いしていたのだ。営業所に電話をしてみると、少し遅くなっているという。京極さんが12時に到着するから、それまでに物がないと非常に困る。そわそわしながら待っていたら、12時2分前になってようやく配達の人から電話が入った。12時までに届けられてよかった、と言って台車で三箱分の本を運んでくれた。ありがたい。これを自力で運ぶのは無理だ。

 本を取りに行っている間に京極さんが到着したようである。和室の階に行くと、会議室にいたはずの人々がぞろぞろとやってくる。京極さんが、サイン本を作るなら和室よりテーブルがある会議室のほうがやりやすい、とおっしゃったそうだ。それはそうか。会議室で京極さんに挨拶をしてIさんとペガサスホールへ向かう。

 エレベータホールで20人以上のお客がすでに待っていた。ホワイエの入口にロープが張ってあったから、中に入ってはいけないのかと思ってそこで待機してくださっていたようなのだ。ホワイエに進んでいただいたが、そこも空調が入っていないので涼しくはない。まだ使用時間前だから空調を動かしてもらうわけにはいかない。申し訳ありません、と言いながらお客さんと一緒にじんわり汗をかく。

12時30分から整理券を配布した。13時になったらペガサスホールの中にある机が出せるようになるので、そこで会計をします、と伝える。実際には少し早く、12時45分にホールは解錠してもらえた。Nさん、Wさんにも来てもらい、早速会計を始める。他のみなさんはホール内に入って椅子を並べる作業だ。お客さんでFさん、Kさんも手伝ってくださった。作家の稲羽白兎さんも来られていたのだが、やはり椅子を並べてくださった。ありがたや。

13時30分、整理券の番号順に入場開始。すでに会計が済んでいる方がほとんどなので、スムースに入場ができる。入ったと思った人がまたすぐに出てくる。サイン本の販売があるからだ。飛ぶように売れていく。1人1冊という制限がなかったら開演前に完売していたところだった。

名簿作成は気を付けていたつもりなのだが、それでも抜けや人数間違いがあってひやひやした。収容人数を超えてお客を入れるわけにはいかない。NさんとWさんにリストを渡してチェックしながら会計してもらっていたのだが、終わってみたら20人くらい予約をしてこなかった方があった。急用などで来れなくなることはありうるので、仕方がない。でもその場合はできれば連絡をしてもらいたいのである。そのドタキャン分、もしかすると当日で来たいという人が入れたかもしれないのに。以降は気を付けてください。

 あっという間に14時。開演である。遅れてこられる方があるかもしれないので、私が一人で扉前に待機する。一人いらっしゃった。10分ほど待って、もういいだろうと判断し、中に入った。

 始まってしまえばあっという間である。ようやくお客に戻って芝右衛門狸を楽しめた。終演後、真山隼人に促されて檀上へ、京極さんとの鼎談である。小説を浪曲化するときの注意点や、今後の展望などについてあれこれ話す。来年の浪曲巷説百物語についてもオフレコで話したが、これは当日いらっしゃった方だけと共有する秘密ということで、現時点は。

 17時完全撤収なので、があっと片付ける。人数が多いのであっという間だ。サイン本の残りを大阪の会場に送るための荷造りをし、ごみは捨てられないので持って帰る算段をする。1階に下りて付帯施設費支払いを済ませたら、17時ぎりぎりになっていた。危ない。近くのコンビニに箱を運び、宅急便で出す。今日は重いものを運んでばかりだ。公演をやるとはそういうことである。

 近所の居酒屋で打ち上げ。一次会は京極さんも残ってくださった。それが終わって二次会へ。途中で失礼して新宿駅に向かう。まったく浪曲を聴いたことがないという高校時代の友人が来てくれていたので、お礼を言わなければならないのである。王子から新宿駅までは、京浜東北線で北へ向かい、赤羽駅で乗り換えればあとは埼京線で一本だ。赤羽、赤羽、と思っていたらなぜか逆方向の南へ向かう京浜東北線に乗ってしまった。慌てて東京駅で乗り換え、中央線で新宿へ向かう。今日は乗り間違えてばかりだ。

 そんなわけで今年の浪曲巷説百物語東京公演はおしまい。7月26日には大阪・新世界ZAZA HOUSEでも公演がある。京極さんはご用事があってこられないのだけど、サイン本は作っていただいたので会場で販売する予定である。ぜひお越しください。

 また、その前日の7月25日には小田原にて夢枕獏・原作 浪曲陰陽師の第2弾公演も始まる。8月11日・大阪、23日・東京という3公演の口開けである。こちらもぜひ。そして私は25日小田原、26日大阪というスケジュールを無事にこなすことができるのだろうか。

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