立川寸志さんの百五十席・後編

祝・真打昇進記念。足かけ9年に及ぶ寸志さんとの冒険はこれでおしまい。
杉江松恋 2026.10.25
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 こうして「トリ噺五十席」が始まった。五十という数はなんとなく決めた。百席じゃまた7年半かかるし、さすがに長すぎる。それよりはちゃんと終れる数にしようという判断だ。三十席だと六十ヶ月で5年。よく考えたらそれでも長いのだが、当時は百の次は半分の五十、という考えしか浮かばなかった。この五十という数字が後でわれわれを縛ることになる。

 会場は偶然見つかった。そのころにはいろいろな浪曲会に足を運ぶようになっていたのだが、ある日顔見知りの港家小そめさんが、富士綾那さんと一緒にアートスペース兜座というところで会を開いているのに気づいたのだ。

 どういうところだろう、と思って行ってみたら、雑居ビルの上階なのだが、綺麗にリノベーションされていて、人数も程よい感じである。聞けばもともと年配の方がお住まいにしていたそうで、それを改修してアーティストのための貸会場にしたのだという。ここだ、と思った。

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